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山田兼士先生のこと
山田兼士先生が亡くなって一年になる(ぼくは教え子なので「先生」と呼ぶ)。12月6日。今日が命日。一周忌である。
ぼくが大学を卒業した翌年に、先生は専任講師として大阪芸術大学の教職に就かれた。それでもぼくが教え子になるのは、卒業に単位が足りなくて一週間の春期集中講座という講義に出て、その講師が専任になる直前の山田先生の大阪芸大での最初の講義だったから。テーマは宮沢賢治の「風の又三郎」。講義は最後の最後に感動的な盛り上がりを見せた。このような講義をする先生と入れ違いになるのかと思うと、卒業することが残念だった。亡くなられるしばらく前にこの講義のことを話すと、「若かったから気合が入っていた」とおっしゃっていた。文学が「わかる」という感覚を、ぼくはこのとき初めて感じたのではないかと思う。
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3/28 ニュース「新刊情報」