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父の背中と、より道と
おとぞうさん
マイケル・グレイニエツ/絵と文
ほそのあやこ/訳25×25cm 32P
申し訳ございませんが、すでに絶版となっております
新しい年度が始まります。
幼稚園、保育園、そして小学校など
4月から送り迎えをスタートする保護者も多いかと思います。
緊張のあまり“行きたくない~”と
泣き出す子も多いかもしれません。
“お父さんとじゃいやだ~”と泣かれて、
困っているお父さんもいることでしょう。
そんな親子におすすめの絵本です。主人公の“きあら”は幼稚園に通っています。
幼稚園へはお父さんが送り迎えをします。
きあらとお父さんは歩いて帰ります。
早く、早くと急がせるのではなく、
子どものペースで歩いて帰ることができるのは、うらやましいことです。
娘をゆっくりと待つお父さんの背中が印象的です。
ふたりのより道はといえば……おもちゃ屋のショーウインドーを覗きます。
今ほしいものは、おおきなぞうさん。
いいなあ……とうっとり眺めます。
毎回そのままお店に入って、すぐにそれを
買うというわけにもいかないでしょうから、
“お誕生日にね~”などと声をかけて、
そっと手をつなぐのかもしれません。
他の家族は登場しませんが、ふたりきりで歩く時間は、
楽しみな時間なのでしょう。そして、ある“出会い”によって、お父さんの運命は変わります。
ここが一番好き、と言ってくださる方が多いですが、
今回はこのあたりについては控えさせていただきます。……それでも、いつもの、お迎えの時間はやってきます。
きあらはお父さんのお迎えがくるのを待ち、
お父さんは娘を迎えに急ぎます。
きあらはいつものようにお父さんにとびつきます。
お父さんはあんな姿でしたから(もう、表紙の状態です)、
とびつくのは大変だったと思います。父親だとすぐに気づいて、
いつものように、いや、いつも以上に喜んでとびついてくれるのは、
お父さんにとって、うれしかったと思います。そして、ラストの場面のお父さんの広い広い背中も、印象的です。
子どもの側から見ると、お父さんの背中はなかなか見えませんが、
すべてを受け入れる背中って、こうなんだなと思いました。きあらとお父さんは、これからもたくさんのよりみち、
曲り道、坂道などが待ち受けていると思います。
とびつかなくなる日もやってきます。
ひとりでより道をするようになります。
けれども、そのたびにおとうさんは、きあらと
正面から向き合おうとするのだと思います。
裏表紙の背中も大きくて、広いです。父の日にもおすすめです。